Yasuda laboratory, MSE, Kyoto Univ.

Fe-Siデンドライト成長(柱状晶組織)

金属合金の凝固では、液相中にデンドライトと呼ばれる樹枝状の固相(結晶)が成長します。デンドライトは主軸である1次アームと1次アームの側面に発達する2次アームが樹枝状に見えるため、樹枝状晶とも言われます。また、2次アームの側面に3次アーム形成することもあります。

ビデオでは上が高温、下が低温であり、水平方向に等温面(線)が存在します。温度分布を考えると、下から上に成長するデンドライトがもっとも有利に成長できます。しかし、ビデオではデンドライトは斜めに成長しています。

デンドライトの成長方向(結晶方位)は合金ごとに決まっており、自由な方向に成長することができません。固相と液相の界面には、シャボン玉で同じように界面張力は作用しており、その表面張力は結晶方位に依存します。結晶方位により変化する表面張力波はわずかと考えられますが、わずかな違いが成長方向を決めます。このFe-Si合金において凝固する固相は体心立方構造(bcc構造)であり、デンドライトの成長方向は[100]、[010]、[001]方向です。一つの方位にプラスマイナスの2方向あるので、全部で6方向にデンドライトは成長します。三次元の空間を凝固することを考えると、たった6方向しかないとも言えます。不自由と言ってもよいかも知れません。

Columnar Fe-Si dendrites

では、ビデオの説明に移ります。
この画面内では固相はすべて同じ結晶方位であり、凝固後は単結晶になります。たまたま、[100]と[010]方向が斜め45度の方向でしたので、 [100]と[010]の成長を組み合わせて下から上に成長しています。このように、デンドライトの成長方向が決まっていることも、凝固後の組織である凝固組織にも影響を与えます。

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